精密機器輸送の流れとは?問い合わせ〜支払いまでを徹底解説!


精密機器は非常に繊細かつ高価な機器となるため、輸送には細心の注意が必要です。
そのため、精密機器の輸送においては 通常の輸送の依頼では十分とは言えず、 精密機器を専門とする業者に輸送を依頼するのが安心です。精密機器の輸送を依頼する時の流れを、精密機器の取り扱いの注意点や輸送業者を選ぶ時の注意点を含めて徹底的に解説します。
【精密機器とは】
精密機器は非常に繊細かつ高価な機器です。
音波診断装置やモニタリング装置といった医療機器や、分離分析機器、赤外分光光度計などの分析機器、レーザー加工機、レーザー彫刻機などの工作機械などの専門的な機器のほか、パソコン・スマートフォンなどの通信機器やオーディオ・テレビなどの電気機器、スキャナー、大型複合機などの出力機器など身近なものも精密機器に含まれます。
【精密機器を取り扱う際の注意点】
精密機器は非常に小さな部品が数多く組み合わされてできています。そのため一般の輸送以上に注意しなければ故障や破損の原因になります。衝突や落下などの衝撃はもちろんですが、通常車両を運転する時に発生するような軽微な振動であっても影響が出ることも考えられます。そのため、揺れを軽減するための特殊な梱包や固定をした上で、衝撃が少ない輸送ルートの設計なども行うことが推奨されます。
注意しなければならないのは衝撃や揺れだけではありません。精密機器の中には高温や低温に弱いものがあるので、温度にも気を配る必要があります。最適な温度は18~26度程度とされているので、基本的にはこの温度を保った状態での輸送が理想的です。また、湿度の調整も必要です。最適な湿度は40〜50%の間とされています。湿度が高いとサビや腐食の発生原因となり、湿度が低いと静電気が発生するリスクが高まります。
急激な温度変化も精密機器には大敵ですので、昼夜で温度差のある季節や、海外輸送の際は特に注意が必要です。急激な温度変化が起こると結露が発生して電気回路を破損させる恐れがあります。
水濡れも故障の原因になりますので、防水対策も必要です。
【精密機器を輸送する時の流れ】
精密機器を輸送する際の流れについてご紹介します。
①問い合わせや見積もり依頼をする
まずはメール・問い合わせフォーム・電話などで、問い合わせや見積もり依頼をしましょう。連絡前に準備しておきたい情報には、以下のようなものがあります。
事前に情報をまとめておけば、スムーズに問い合わせができ、最終的な支払いと見積もりと差が生まれにくいです。
・精密機器の種類や特徴
・精密機器の大きさや重さ
・輸送予定の数量
・輸送元と輸送先の場所
・設置場所の環境(フロア、エレベーターの有無、段差の有無など)
・希望日時
・一時保管の必要性
まずは問い合わせをして不明点を確認してから、信頼できると思った業者にだけ見積もりを依頼する形でも良いでしょう。
見積もりまでであれば、無料のケースが多いです。
特殊な形状や大きな精密機器であったり、搬出・搬入経路が複雑だったりする場合には、担当者が現地にきて下見作業を行うケースがあります。
手間に感じるかもしれませんが、輸送当日に現地に来て搬出・搬入ができなかったことで希望の日程までに輸送を完了できないとなれば大問題です。下見に来てくれる業者はむしろ親切な業者といえます。
*ポイント*
見積もりは複数社で取りましょう。精密機器の輸送は輸送費用に差があるだけではなく、梱包方法や輸送方法にも様々な種類があります。十分な対策をしてくれているのか、それに見合う金額であるのか、納得のいく内容・金額で対応してもらうためにも、相見積もりは必須です。
法外な金額を請求してくる悪徳業者がいないわけではありません。そうした業者に引っかからないためにも相見積もりは重要です。
下見が必要と思われるような不安な箇所がある場合は、積極的に事前に情報を伝えましょう。事前に確認してもらっておいた方が安心です。
②契約・打ち合わせ
提案内容と見積もり金額に納得したら、契約を行います。
実際の作業を行う前により詳細な打ち合わせを実施し、作業当日の具体的な流れや、搬出・搬入経路や輸送経路などを確認していきます。
こうした作業内容を記した作業計画書や、オフィス移転などにおいては軌跡図・工程表などが作成されることで、当日のスムーズな作業が実現できます。
*ポイント*
不明な点がある場合は、契約する前に必ず確認しておきましょう。
特に追加料金が発生する可能性があるかどうかは、よく確認してください。
追加料金の設定がある場合は、どのような場合にどれくらいの金額が加算されるのかまで、具体的に確認しておくことをオススメします。
また、保険への加入や、保険の内容についても詳細に確認してください。壊れやすく高価な精密機器の輸送となりますので、十分な保証がなければマイナスとなってしまう恐れがあります。
③当日作業の実施
当日担当の作業員からの挨拶や作業の流れの説明を受けます。
状況に応じて養生を行い、搬出や搬入時に周囲を傷つけることがないようにします。養生が終わったら精密機器にあった方法で丁寧に梱包し、トラックに積み込まれます。また、トラック内で精密機器が動くことがないようにしっかりと固定されます。
予定の場所に全ての精密機器が搬入されれば、作業完了です。
※当日の立ち会いが必要か否かは依頼する業者や、運ぶ精密機器の種類や搬出・搬入場所などの諸条件によっても異なります。
*ポイント*
データの入った精密機器を輸送する場合は、バックアップを必ず取っておきましょう。機器自体の作動には影響がなくても、データが飛んでしまうというリスクがあります。保険に入っていても、データは対象外であることがほとんどです。
また、バッテリー内臓の機器については、電源を切っておくのも忘れないようにしましょう。移動させる時に電源が入っていると故障のリスクが高まります。
④支払い
作業が無事に完了したら、支払いをして終了です。
*ポイント*
支払い期限や支払い方法については、契約時に確認しておきましょう。
【見積もりや申込前にチェック!安心して依頼できる業者の見分け方】
高価な精密機器を輸送するのですから、より確実に作業をしてもらいたいですよね。
そのために重要なのは、どの業者に依頼するかということです。
見積もりを依頼しても、納得のいく内容や金額でなければ契約をしないという選択はもちろんできますが、人によっては強引に契約させられてしまうこともあるかもしれません。
見積もりを依頼する会社を選ぶ際にも、ある程度見極めておくことが重要です。
<実績の豊富さ>
HPなどで実績を確認しましょう。
実績があるということは、それだけの依頼を受けてきたということになりますから、信頼できる企業である可能性が高いです。また、実績が豊富であることは技術力があることの証明でもあります。精密機器の輸送には経験や技術力が必須ですので、実績は必ず確認してください。
<料金形態の明確さ>
精密機器の輸送は、その種類や量、輸送ルートなどによってかかる費用にかなり幅があります。HP上に料金例などが乗っているケースは少ないと思いますので、どのように料金が決定するのかを問い合わせてみてください。
どのような基準で料金が決まるのか、また見積もり後に追加料金が発生することがあるのかといったことを聞いた時に、明確な答えが返ってこない場合は少し注意した方が良いかもしれません。
<作業計画書や工程表があるか>
「何を」「どれくらい」「どこに」「いつ」輸送するのか、クレーンなどの重機を使用するのか、搬出・搬入経路や輸送ルート、搬入位置はどこなのかなどを記載した作業計画書や、移転作業時の軌跡図・工程表などを作成してもらえるのかを確認しましょう。
「作成します。」という回答だけではなく、どんな内容で作成してもらえるかまで聞いてください。
<メールや電話対応は丁寧か>
会社の姿勢は社員の対応にも現れます。メールや電話対応の担当者が丁寧に対応してくれる業者であれば、作業も丁寧に行ってもらえる可能性が高いです。こうした業者は教育も行き届いている可能性が高いので、当日どんな人が担当することになっても安心して作業を任せることができるでしょう。
<十分な補償がついた保険に加入をしているかどうか>
どんなに技術力があり、丁寧な対応をしてくれる業者であっても、思わぬトラブルが発生して精密機器が故障したり破損したりするリスクは0にはなりません。そのため、保険加入の有無は非常に重要です。保険に加入しているかを確認するだけではなく、その内容が十分な補償であるのかどうかを確認しましょう。
代表的な保険の例は「請負業者賠償責任保険」「運送業者貨物賠償責任保険(物流業者包括賠償責任保険)」です。
<適正な価格かどうか>
できるだけ安く輸送したいと考える方は多いと思います。相見積もりを取り、金額が最も安い所に依頼しようと考えるかもしれませんが、値段だけの比較は適切とはいえません。どれだけ安くても、結果的に精密機器に不具合が発生したり、搬入経路に傷がついたりしては元もこもありませんし、十分な保険に加入していなければ補償してもらうことができません。
金額ではなく、作業内容や補償内容などを総合的に比較して適正な価格かどうかを確認してください。
【まとめ】
精密機器の輸送は通常の輸送よりも注意しなければならないポイントがたくさんあります。依頼するためには、まずは業者についてある程度下調べをしてから、問い合わせをしたり見積もりを依頼したりしましょう。問い合わせの際は、伝えるべき情報をまとめておくとスムーズです。見積もりの内容はもちろん、これまでの実績や対応を確認し、不明な点がなくなってから契約をすることをオススメします。
安心して当日作業を迎え、気持ちよく支払いができるようにしてくださいね。