繊細な精密機器輸送には注意!様々な精密機器輸送の注意点について解説
![繊細な精密機器輸送には注意!様々な精密機器輸送の注意点について解説](https://www.k-marusan.jp/dcms_media/image/a31-thumbnail.jpeg)
繊細な精密機器はほんの小さな衝撃でも故障してしまうリスクがあります。精密機器は高額なものも多いですので、故障は大きな損害につながることになりますから、そのような事態はできるだけ避けなければなりません。 そこで今回は、精密機器を輸送する際に注意すべきポイントをご紹介します。
【精密機器とは】
精密機器とは、たくさんの小さな部品によって構成されている精度の高い機器のことです。内部は非常に複雑にできていて、繊細なものが多いです。
精密機器の具体例
・パソコン・スマートフォン・サーバーなどの通信機器
・オーディオ・テレビなどの電気機器
・顕微鏡・望遠鏡などの光学機
・音波診断装置・MRI・CTなどの医療機器
・電動昇降式ベッド、車いすなどの福祉機器
・光散乱光度計、分離分析機器、赤外分光光度計などの分析機器
・プリンター、スキャナー、大型複合機などの出力機器
・マニシングセンタ、レーザー加工機、レーザー彫刻機などの工作機械
・航空機器、航空宇宙用レーダーなどの宇宙航空部品
・その他、ATMや券売機など
【精密機器輸送時のリスク】
注意点を把握するために、精密機器輸送時のリスクについて把握しておきましょう。
冒頭でもご説明したように、繊細な精密機器を輸送する際には通常の輸送よりも故障のリスクが高いです。
精密機器輸送時に故障の原因となるのは衝撃だけではありません。他にも故障のリスクとなる要因があります。
衝撃
落下や接触によって発生する衝撃はもちろんですが、通常の商品では破損の心配がないような小さな振動などでも、精密機器の故障の原因となる可能性があります。
例えば、トラックなどの輸送車両で輸送中に発生する小さな揺れも故障に影響することがあります。急ブレーキや悪路の走行だけではなく、普通に道路を走行している時の揺れで故障することもあるのです。
温度
精密機器の中には、高温や低温に弱いものがあります。また急激な温度変化も故障の原因となります。急激な温度変化は結露を発生させ電気回路の破損を引き起こす可能性があるのです。海外輸送の際には温度差が激しくなることが多いので特に注意が必要です。基本的には18~26度程度が最適な温度であるとされています。
湿度
適切な湿度は40〜50%の間とされています。それ以上湿度が高いと、サビや腐食の発生原因となるのです。また湿度が低いと静電気が発生するリスクが高まり、それが原因で故障してしまう可能性があります。
水濡れ
天候が悪い時の輸送などにおいて、水濡れのリスクがあります。結露などと同様に電気回路の故障リスクやサビや腐食のリスクがあります。
害虫
あまり多いケースではありませんが、害虫が機械内部に侵入したことが原因で故障することもあります。
【精密機器輸送の注意点】
自分たちで輸送するケースも想定して、精密機器を輸送する際にはどんな点に注意したら良いのかをご紹介します。
丁寧に取り扱う
当たり前のことですが、取り扱いには細心の注意を払い、丁寧に取り扱うことが大前提です。天地(荷物の上下)を反対にするのももちろんNGです。
衝撃レコーダーや衝撃ステッカーなどを活用して輸送中の衝撃を感知することもできます。作業担当者の注意喚起にもなりますし、どのような作業がどんな衝撃につながるのかを目で見て感じることができるので、長期的に見て輸送技術を高めることにもつながります。
慎重に運転を行う
小さな振動も精密機器に影響を与える可能性があります。スピードを出さず、急ブレーキを踏むようなことがないように慎重に運転をしましょう。
安全な輸送経路を決める
整備されていないような道を通らないように注意が必要です。そのためには事前に安全な輸送経路を決めて、リスクを減らすようにしましょう。
固定と梱包をしっかりと行う
いくら慎重に輸送をしても振動は発生してしまいますので、こうした振動から精密機器を守るためには、固定や梱包をしっかりと行う必要があります。丁寧に梱包し固定することで多くの振動の伝達を抑えることができます。隙間のない梱包は、害虫の侵入対策にもなります。
梱包方法の例については別途ご紹介します。
空調システムなどを使って温度と湿度を管理する
高温や低温、急激な温度変化、高すぎるあるいは低すぎる湿度は故障の可能性を高めるので、最適な温度と湿度を保つために注意が必要です。空調システムを使って温度と湿度を管理する他、防湿材・乾燥剤の使用も有効です。
防水対策をする
精密機器を雨天時に運搬するのはできるだけ避けたいところなので、余裕を持ったスケジュール設定をしておくことが望ましいです。もしくは、防水カバーや防水フィルムを使った梱包、防水コンテナをつかった輸送をしましょう。
データをバックアップする
パソコンなどの情報が入った精密機器を輸送する場合には、データのバックアップをとっておきましょう。故障とまでは行かなくても、何らかの衝撃でデータが飛んでしまう恐れがあります。業者に依頼する際にも故障は補償対象でもデータは補償対象外であることが多いです。
機器の電源は切っておく
バッテリーで起動するタイプの精密機器は、必ず電源を切っておくようにしましょう。電源が入ったまま移動をすると、切っている状態で移動させるよりも故障のリスクが高まります。
配線は全て取り外す
面倒だったり、配線コードの紛失を避けたかったりといった理由で、電源は抜いても配線をそのままにしたくなるかもしれませんが、必ず配線は全て取り外すようにしましょう。
接続部分に無理な力がかかって破損したり、断線したりするリスクがあります。
外した配線コードにはわかりやすくラベルをつけたり、個別に梱包してメモをしたり、どの機器の配線かをわかりやすいようにしてください。配線が複雑な場合は、取り外す前に写真を撮っておくと再設置の際にスムーズです。
保険に加入する
精密機器は高額です。破損したり故障したりしてしまうと大きな損失となります。そのため、保険に加入をすることが推奨されます。輸送会社によって補償内容が異なりますので、内容の確認も忘れないように注意しましょう。
作業員を教育する
梱包や固定を含めた輸送作業を適切に行うためには、作業者の教育が必要です。技術的側面だけでなく、精密機器を取り扱うための姿勢や考え方についても十分に伝えておく必要があります。
輸送業者に依頼する際には、その会社の社員教育への考え方も確認することをオススメします。
【精密機器を輸送リスクから守るための梱包例】
精密機器を様々な輸送リスクから守るために、輸送時の梱包方法が工夫されています。
この章では、専門業者が行う梱包例と、自分たちでパソコンなどの精密機器を輸送する際の梱包の工夫についてご紹介します。
専門業者が行う梱包例
形状に合わせた緩衝材
単に緩衝材を敷き詰めるということではなく、精密機器の形状に合わせた緩衝材を使用することでより衝撃を緩和することができます。
二重包装
帯電防止エアキャップとポリシートで二重に梱包する方法です。静電気、ホコリ、傷などから精密機器を守ることができます。
バリア梱包
バリア(防湿バリアメタル)で製品を覆う梱包方法です。真空状態にして、乾燥剤を入れることで湿気を除去することができます。湿気からくるサビや海水の塩から精密機器を保護します。
密閉木箱梱包
板材で隙間を塞ぎ密閉する梱包方法です。防水・防湿効果があるとともに、盗難や破損等を防止することもできます。
スチール梱包
木材と比較して圧倒的に防水性や防錆性に優れている梱包方法ですので、精密機器の梱包に適しています。リサイクル・リユースが可能な製品ですので環境に優しく、コストを下げられる可能性もあります。
自分たちで行う梱包の工夫
精密機器の大きさに合った段ボールで梱包
段ボールを使用しての輸送が基本になると思いますが、大きすぎる段ボールを使うと内部で精密機器が移動しやすく故障のリスクが高まります。精密機器よりも1〜2回り程度大きい段ボールを使用しましょう。ぴったりのサイズは梱包材が十分に入れられないので、ある程度の余裕は必要です。
緩衝材を十分に敷き詰める
精密機器を緩衝材で包んだ後、できるだけ隙間なく緩衝材を敷き詰めます。包むときには、二重に包み、テープでしっかりと固定します。衝撃から守るとともに、隙間から水や害虫などが侵入することを防ぎましょう。緩衝材としては気泡緩衝材の使用が一般的ですが、タオルなどで代用することができます。ただし、その場合は防水効果は期待できないので注意しましょう。
しっかりと段ボールに封をする
何らかの衝撃で開いてしまわないように、内部だけでなくダンボール自体もしっかりと封をしてください。
【精密機器の輸送にオススメの方法】
精密機器の輸送においては、いかに衝撃や寒暖差などの影響から保護することができるかという点がポイントとなります。
一般的な運送会社でも精密機器の輸送を取り扱っているケースはありますが、精密機器に特化した梱包や固定方法で輸送する技術を持っているとは限りません。精密機器の輸送を専門としている、または得意としている業者であれば、より安心して依頼することができます。
【まとめ】
精密機器は非常に繊細なため、通常の輸送方法では破損や故障のリスクが大きく・特別な対応が必要不可欠です。
梱包、固定、温度・湿度管理、適切なルートの選定など注意すべき点は多数あり、専門業者に依頼するのがオススメです。専門業者の中でも対応方法は異なっていますので、複数の業者で見積もりを取りましょう。それを元に技術力と金額とで納得でき、信頼できる業者に依頼するようにしてください。